何度もトイレに入っておしっこの姿勢をとる。
。。。でも出ない。
冬、オス猫にこのような症状があったら
まず尿道閉塞を疑います!!
おしっこをしたいのに出せない状態。
想像しただけで辛すぎます。
さぁ、始めましょう。
もくじ
尿が作られてオシッコとして出るまで
尿は腎臓で作られた後に尿管を通って膀胱に貯められます。
ある程度膀胱に貯まった後に尿道を通って外へと排出されてオシッコとなります。
この流れを「尿路」と呼びます。
この尿路のどこかで何らかの理由で尿の流れが悪くなった状態が『尿路閉塞』です。
尿管で流れが悪くなれば『尿管閉塞』、尿道で流れが悪くなれば『尿道閉塞』ということになります。
尿道閉塞の原因
尿道の流れが悪くなる理由としてもっとも多いのが
尿道栓子
で約60%、結石が10%と報告されています。
その他にも腫瘍や血餅、異物などもあります。
尿道栓子は膀胱や尿道の炎症に由来する物質と結晶成分が合わさったタンパク物質の事です。軟らかくてもろいですが、尿道に詰まって『栓』をして閉塞するので尿道栓子と呼ばれています。
特発性膀胱炎や下部尿路感染症があると、炎症性の物資がたくさんできます。
これには炎症細胞や赤血球、壊死組織、上皮細胞などが含まれます。
この時点でも、血尿や頻尿(何度もトイレに行く)、排尿時疼痛などの症状があるはずです。
ここでさらに尿に結晶(猫ではストラバイトやシュウ酸カルシウムが多い)があった場合は、炎症物質と混ざり合う事で『尿道栓子』が形成されます。
オスに多い尿道閉塞
尿道閉塞は圧倒的にオスに多い病気です。
オス猫の尿道は細長く、S字状に曲がっているために閉塞しやすいという特徴があります。
一方、メスでは尿道はオスに比べると短く太いとされています。
この事から、ある程度の大きさの尿道栓子や血餅でも流れでてくれるという事が言えます。
冬に要注意!!
もともと猫は飲水量が少ない動物です。
寒くなる冬にはさらに水を飲まなくなります。
冬にあまり水を飲まなくなる猫の尿は、濃くなって結晶がどんどん生成されてしまいます。
尿道栓子の形成を助長するだけでなく、この結晶成分による閉塞も起こりやすくなります。
ジャリジャリしているためこれだけで膀胱や尿道を傷つけて炎症を起こす事があります。
飲水量が多ければ尿も多くなるために尿道栓子や結晶ができても小さいうちに流してくれます。
でも冬には、飲水量が少なく尿量も少ないため、なかなか排尿しないので膀胱の中で尿道栓子が成長してしまい、つまりやすい大きまで成長してしまいます。
飲水量が少ない冬には要注意!!
尿道閉塞の症状
少しづつでも尿が出ているのか、全く出ていないのかでも症状が変わってきます。
長時間トイレで排尿姿勢をとっている(おしっこが出にくい)、
何度もトイレに行くというのが多く見られる症状です。
- おしっこが出にくい
- 何度もトイレに行く
- おしっこをする時に鳴く
- 血尿
- 尿がポタポタしか出ない
- ペニス周囲を舐める
あまりにオシッコが出ないので、なんとかしようとペニスを舐める事もあります。
おしっこが出ないと、膀胱がパンパン・カチカチになります。
その後、腎臓への影響が顕著に出てきます。
部分閉塞であったり、閉塞後早期であれば予後は良好です。
完全閉塞して36〜48時間以上経過すると、意識レベルの低下、食欲不振、嘔吐、低体温、脱水、虚脱、血圧低下、不整脈が起こります。
急性腎不全や尿毒症により死亡する場合もある、危険な病気です。
診断
完全閉塞を起こして状態の悪い猫の場合は、検査と同時に治療や処置を行う事があります。
尿道閉塞は尿道栓子や結石によるものが多いとされていますが、尿道の腫瘍や機能的閉塞、その他の原因も考えられるため様々な検査を組み合わせる必要があります。
身体検査
尿が出ていないことは、問診や腹部を触診しパンパンになった膀胱を触ることで確認できます。
状態が悪い猫の場合は、電解質異常や脱水が起こっている事が多く循環不全になっているために循環状態の把握を行います。
ペニスの色が悪くなっていたり、栓子が確認できる事もあります。
血液検査
完全閉塞の場合、急性腎障害となっている事があります。
電解質バランスの異常も起こっている事があります。
心電図検査
電解質異常により高カリウム血症の場合は、心電図に異常がみられる事もあります。
画像診断(レントゲン検査、超音波検査)
尿の貯留により大きくなった膀胱が確認されます。
結石や腫瘍が見つかる事もあります。
尿検査
治療も兼ねてになりますが、尿道にカテーテルを挿入して採取した尿を検査します。
定性検査や細菌や結晶の確認をします。
治療
状態が悪い猫の場合、救急対応
状態の悪い猫の場合は、すぐに静脈点滴が必要になります。
点滴をしながら検査や治療を行います。
急性腎障害となっている場合は、閉塞解除後も点滴治療を行い注意深いモニターが必要になります。
尿道閉塞の解除
尿道カテーテルを挿入することで閉塞の解除を試みます。
カテーテルが挿入できた場合は、膀胱洗浄も同時に行う事があります。
大人しい猫の場合はそのまま処置を行う事ができますが、多くの場合は鎮静や麻酔が必要になります。
外科的対応
何度も尿道閉塞を繰り返している場合などは、外科的な対応が必要になる事もあります。
家でできる事
尿道栓子には炎症が関与しています。
特発性膀胱炎は猫に多く、オスに起ると尿道栓子を形成しやすくなるために注意が必要です。
いかに水を飲んでもらうかがポイント
尿に結晶成分が多くできる状態でも、膀胱や尿道に物理的に炎症を起こし栓子を形成しやすくなるばかりでなく、結晶自体も尿道閉塞の原因になります。
その予防にはやはり
いかに飲水量を多くできるかがポイントになります。
・水はいつも新鮮なものに
少なくとも1日2回は交換しましょう。
埃や毛が浮いている水より新鮮で綺麗な水を好む猫が多いです。
・水飲み場を工夫する
理想は数カ所の水飲み場を作ってあげることです。
いつでも水を飲めるようにしてあげましょう。
トイレの近くや騒がしいところは避けて下さい。
風呂場や洗面台の水が好きな猫もいます。
タイル床にある水が好きだったり、流れている水が好きだったり。
蛇口から流れくるの水をペロペロとなめる姿をよくみます。蛇口からポタポタ水を垂らしておくのも良いでしょう。
好きな場所を探してみて下さい。
・器にこだわる
小さすぎる器はお勧めできません。
ステンレス製、プラスチック製、ガラス性、陶器製など様々な材質がありますが、
一番のオススメは陶器製
です。陶器の器に変更しただけで水をよく飲むようになった猫が多いです。
水がまろやかになるのでしょうか?はっきりしたことは分かりませんが。。。
深い器よりもフラットなものが良いです。
できればヒゲがあたらない器が良いでしょう。
・器の高さを考える
慢性腎臓病の猫は高齢なことが多く関節炎があったり筋力が低下しています。
床に置いてある器から水を飲むときに、ひじを曲げたり頭を下ろしたりが大変です。
器の下に台をつけて高くしたほうが飲みやすいでしょう。
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・好きな水を探す
水といっても水道水、ミネラルウォーター、水素水など様々です。
どんな水が好きかみつけて下さい。
ササミや魚の煮汁を使ってみて風味をつけるのも良いでしょう。(水が傷みやすくなるので注意が必要です)
・水の温度を考える
ぬるま湯の方が好きな猫が多いです。
逆に氷が好きな猫もいます。場合によっては味(風味)付の氷を作ってあげるのも良いでしょう。
・食事に水をたす
ウエットフードに少し水を足したり、ドライフードをお湯やササミの煮汁でふやかしたりすることで少し水分補給ができます。
療法食を食べてもらう
尿石症が原因になっている場合、繰り返す事が多いです。
そのため療法食を食べて結石、結晶ができにくい状態を維持する事が大事です。
療法食は様々なものがあるため、尿検査を行い獣医師と相談して決めるようにしましょう。
いかに療法食を食べてもらうかがポイントです。
・ドライが好き?ウエットが好き?
もともと食べていた食事がドライフードであった場合はドライフードの療法食から試してみるのが良いでしょう(ウエットの場合はウエットから)。
ただし、それを試して食べなくても諦めないで下さい!!!
ドライフードの形状が違う(違うメーカーの療法食)だけでも食べることがあります。
ドライフードを少し煎ると食べることがあります。
ドライフードにお湯を入れてふやかすと食べることがあります。
ふやかす際にお湯でなくチキンスープなどで風味づけするのも方法です。
好みが変わっているのかもしれません。ドライ⇄ウエット変えてみるのも方法です。
ウエットフードなら温度を変えてみる。多くの猫で少し温めてあげたほうがよく食べます(もともと肉食動物ですから)
山の形になるように盛ってあげると上の方からガブッと食べる猫がいます。形が崩れると食べなくなり再び山の形に盛ると食べる。。。その繰り返しです(笑)
などなど
他にも工夫はあります
・食器にこだわる
もともと食べていたお気に入りの食器があればそれがいいと思います。
できれば食器は少し大きめで猫のヒゲが当たらないようにしたほうが食べます。
ときどき食器ではなく直接床に置いてあげたほうが食べる猫がいます。
・場所にこだわる
もともと食べていた場所で食べない時は場所を変えてみるのも方法です。
できれば静かな場所で安心できるところがいいです。
他にも猫がいたり犬がいる場合は一人で食べられる場所であげてみてください。
人に見られていると食べない猫もいます。
- オス猫に多い
- 冬に注意
- 命に関わるので症状があればすぐに病院へ
- いかに水を飲んでもらうかがポイント
- 療法食も有効
コメントありがとうございました(*^◯^*)
この記事すごく勉強になります。。。
うちにも3ニャン療法食を食べてます。
1ニャンだけ、踏ん張っておしっこしてるのですが、尿検査しても異常なく。。。暴れん坊なためなかなか病院へ行けず…
おしっこは出てるし回数も他の子と変わらないけど、なんだか気になり。。。
手作り食も考えましたが、、、
療法食はそれだけしかあげないで!と言われてるのですが、お水に味付けしたり、ウェットなどに水を足してあげたりしても問題ないのでしょうか?
よければ教えてください!
2nyan7さん
コメントありがとうございます。
ふんばって排尿するという猫ちゃんは男の子ですか?
年齢はいくつくらいの猫ちゃんですか?
回数も他の猫と変わらないのであればそんなに心配ないと思います。
療法食というのは何の療法食でしょうか?
尿石症のための?
尿検査で何も問題ないのであれば療法食というよりも、2nyan7さんがお考えのように食事にお湯を足してみたり、
飲み水に味をつけたりすることが尿量を増やす方法として有効だと思います。
ブログでも書いたように飲み水の器を変更したり、好きな水を見つけることも方法です。
お風呂場のタイルについた水が好きって猫もいます。
Rin