調子が悪くて動物病院に連れて行き、薬を処方してもらってコレで一安心と思ったのに薬を飲んでくれない。。。
食事に入れても飲んでくれない!!
口に入れてもブクブクと泡あわのカニのようになってる!!
飲ませようとして引っ掻かれた!!
薬を出してくるとどこかに隠れちゃう!!
こんな経験ありませんか?
今日は
“猫の投薬法”
についてです。少しでも参考になればと思います。
もくじ
なんで薬を飲んでくれないのか?
と言っても猫にはなかなかその思いは届かないものです。
(なかには言い聞かせると飲んでくれる猫ちゃんもいますが😄)
薬は独特の匂いがあったり味があるために猫は嫌がります。
猫の嗅覚
犬に比べると嗅覚感度は低いですが、人間と比べるとはるかに感度が高いです。
匂いを感知する嗅細胞の数は
- 猫:6000万〜7000万個
犬:8000万〜2億2000万個
人間:約1000万個
と言われています。
猫は人間と比べるとはるかに匂いの感度が高いために、薬の匂いを感じ取り飲んでくれないのかもしれません。
ヤコブソン器官(鋤鼻器官)とフレーメン反応
猫や馬にはヤコブソン器官と呼ばれるフェロモンを感じ取る特殊な器官が存在します。
切歯(前歯)の後ろにヤコブソン器官の開口部がありますが、フェロモンを完治した際に開口部を広げてそのフェロモンをヤコブソン器官へ運ぶため、上唇を持ち上げたあの特徴的な表情(フレーメン反応)をしています。
猫の味覚
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、これらを五感と言います。
猫の感覚は非常に敏感ですが、『味覚』に関しては特異な感覚なんです。
味覚は“味蕾”という構造の中にある味細胞(の受容体)が関係しています。
つまり味蕾の数が多いほどグルメということになります。
味蕾の数は猫でおよそ475個と言われています。
犬の味蕾の数は1700個、人間の味蕾の数は9000個。
他の動物と比較して猫の味蕾の数がいかに少ないかが分かると思います。
それは超グルメな動物ですね!!
猫は甘味が分からない!!
動物の味覚として、5つの基本味 :甘味、うま味、塩味、苦味、酸味が知られています。
甘味は炭水化物(エネルギー)、うま味はタンパク質(アミノ酸)、塩味はナトリウム(ミネラル)を摂取し、苦味は毒物、酸味は腐敗物を忌避するために機能しています。
甘みを感知する受容体は2つのタンパク質(T1R2とT1R3)でできていますが、猫ではこのうちのT1R2というタンパク質の遺伝子に異常があるために、甘味物質を受容できません。
そのために、
猫は甘みが分かりません!!
猫科の動物(ライオンやトラ)は純粋な肉食動物で動物を捕食することで生きています。
そのために、甘味を感じる必要が無いので進化の過程で遺伝子に変異が生じたのかもしれません。
ちなみに、アザラシやアシカ、セイウチなども魚を主食していていて、甘味を感じません。
味覚受容体の遺伝子はひとりひとり少しずつ違います。そのために、みんな味の好みも違います。苦味に寛容な猫がいたり、敏感な猫がいたり。
薬の剤型も色々ある
動物病院で処方してもらう薬も色々な剤型があります。
もっとも一般的なのが『錠剤』です。
薬は動物専用の薬だと思っている方が多いのですが、動物病院で扱う薬の多くは人間用の薬です。人間と猫では薬の体重あたりの必要量が違います。種類によっては少なかったり、逆に多かったり。そこで猫の体重に合わせて錠剤をカットして処方します。
『粉(散剤)』はもともと粉のタイプの薬だったり、錠剤をカットできないものを粉として分包していたりします。このタイプでは薬の苦味が口の中に広がりやすいというデメリットがあります。
『カプセル』は、錠剤や粉を詰めて処方することがあります。口や喉にくっつき易く、噛んでしまうと錠剤・粉と同じで味が分かってしまいます。
『シロップ』として販売されている薬は非常に少ないです。処方した粉を液体に溶いてシロップとしてあげることはありますが、人間のように甘くしても猫では甘みが分からないために無効です。
どのタイプの剤型が飲ませられるかを担当の獣医師と相談するのが良いですね。
薬の飲ませ方1:食べ物に隠す
これで飲めるのであれば一番いいですね。
薬を飲むことを一度嫌がると、猫にも飼い主にもストレスになり病気の治療が難しくなるばかりか、せっかく動物とハッピーライフを送っているはずが、動物と人との信頼関係が崩れてしまいます。
まずは食べ物に隠してあげてみましょう。
お団子・おにぎり作戦:缶詰フード
お団子・おにぎり作戦
普段から缶詰フードを食べている猫では、食事をあげる前に一口分の食事をお団子のようにして中に錠剤、粉を隠してあげてみましょう。それを食べてくれたら残りの食事をあげるようにします。
時々、缶詰フードを山のように盛ってあげると上の方だけカブリつくように食べる猫がいます。崩れると食べなくなるけど、再び山のように盛ってあげると食べる繰り返しの猫がいます。不思議ですが。。。『富士山にしてあげて』などと言ってます。
好きなもの・オヤツ
何か好きなものがあればそこに薬を隠すことができるかもしれません。
他にもシャブシャブの肉が好きで薬を肉で巻いてあげていた猫もいました。
最近は投薬用のお肉タイプのオヤツがあって、それで薬を包むと簡単に食べてくれる猫がいます。
ピルポケットはもともと穴があいたお肉のようになっていてそこに薬を入れられます。
ただし、丸々1個使うと大きくなってしまうのでちぎって使うことが多いです。
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メディボールもかなり食べてくれますね。
ちぎって薬をコーティングするようにして、薬の入った団子と入ってないものを用意しておいて、まずは薬が入った団子をあげてそれを食べたら入ってないものをあげるようにしてます。
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チュール好きな猫はこれもいいかもしれません。
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ペーストタイプのオヤツでも薬を飲んでくれる猫がいます。
その際に、錠剤だけは避けて舐めてしまうのであれば、錠剤を砕いて粉にして混ぜるのも方法です。錠剤を簡単に粉にする器具も販売されています。
オヤツとして普段からペーストをあげている方が増えているので、そのまま利用するのもいいですね。
ペーストのものはサラサラのものより少し粘稠性の高いものの方が薬をあげやすいです。
口の中に入れる
上記のやり方でも薬を飲んでくれない場合は、口の中に薬を入れます。
寝たきりの猫の場合、
寝た状態であげるより、できる限り伏せに近い状態であげた方があげやすいです。
➀利き手と反対の手で猫の頭を持ち上げる
猫の頭を持つ時は、皮膚を無理やり引っ張っているわけではなく、骨の部分を支えているので猫に痛みはありません。
- 利き手と反対の手の親指と中指または人差し指で頬の骨を持つようにします。
- 頬の骨を持ったら顔を上に向けるようにします。結構力が入ります。
②利き手で薬を落とす
次に
- 利き手の親指と人差し指で薬を持ちます
- 猫の下の前歯に中指をかけるようにして口を開きます
- 喉の奥に薬をポトっと落とします
薬は喉の奥に突っ込むのではなく、上からコイン落としの要領で落とします。
➂水を6ml飲ませる
薬を喉の奥に落としたら
- そのままの体勢でキープ
- 注射器で水をできれば6ml以上飲ませる
猫は食道の機能が非常に悪く、飲ませた薬が食道にとどまってしまい食道炎を起こすことがあります。そのためにできれば6ml以上の水を飲ませるようにします。
また、内服させた後に食事をあげることで食事で押し流されていくので食前にあげることもオススメです。
錠剤では、内服60秒後でも食道にとどまり、5分後でも36.7%の猫でしか胃に到達しなかった。
Donald S.:J Vet Intern Med 2001;15:467–470
シロップ剤を飲ませるのも、この水を飲ませる方法と同じやり方です。
その他の方法
投薬機(インプッター)を使った方法もありますが、
基本的には口を開けてあげるため
薬を落とす方法ができればこれは必要ないかもしれません。
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