動物病院で薬をもらったけど、どうやって飲ませたらいいの?
何とか飲ませられたけど、ずっと続けるのは・・・。
下痢をしている時、ケガをした時など短期間薬が必要だったり、
皮膚病や心臓病などの持病のために長期間薬が必要だったり、
病気の際は薬が必要になることが多くあります。
そんな時のために薬の飲ませ方をマスターしておきたいですね。
今回は
“犬の投薬法”
についてです。少しでも参考になればと思います。
もくじ
いつもの食事はどうですか?
犬の食事の時間の事を想像して下さい。
食事の準備をしているとすでに足元に来て待っていませんか?
きっとその時の犬の顔は笑顔です。
『ご飯?ご飯?』『まだかなぁ?』
そんな感じで楽しみに待っている事でしょう。
そして、その時のご自身の顔も自然と笑顔になっているはずです。
『〇〇ちゃん、ちょっと待っててねぇ』
笑顔で準備していて、
『はい、おまたせぇ〜』
と食べている姿を笑顔で見ているはずです。
薬をあげる時は・・・
飲んでくれるかなぁ。
飲まなかったらどうしよう・・・。
こんな時はきっと笑顔は消えているはずです。
犬からしても
『アレッ?いつもと違う!!』
『何か、嫌なことが起こるのでは?』
と疑っているはずです。
犬の嗅覚と味覚
犬は嗅覚が非常に敏感です。
一般的に犬の嗅覚は人の1億倍まで感知できると言われていますが、匂いの種類によっても感知能力に違いがあります。
臭気の種類 倍率 酸臭 1億倍 吉草根の香気 170万倍 腐敗バター臭 80万倍 スミレの花臭 3000倍 ニンニク臭 2000倍 【日本警察犬協会ホームページより】
人間が分からない薬のニオイにも反応して識別している可能性があります。
『やっぱりいつもと違った!!』
と感じていることでしょう。
味覚に関しては人間よりは鈍いと言えそうです。
味覚は“味蕾”という構造の中にある味細胞(の受容体)が関係しています。
つまり味蕾の数が多いほどグルメということになります。
犬の味蕾の数は1700個、人間の味蕾の数は9000個です。
人間よりは味を感じにくいということになります。
ちなみに猫は犬よりもさらに味覚は鈍いと言われています。
猫の味蕾の数はおよそ475個と言われています。猫の味蕾の数がいかに少ないかが分かると思います。
人間よりも味覚は鈍いかもしれませんが、
“苦かった!!”
など一度でも嫌な思いをするとより警戒するようになってしまいます。
薬を飲んだと思わせない
嫌がる犬に叱りながら、
押さえつけて無理やり薬を飲ませる
これをやると負のスパイラルです。
次に飲ませる時はもっと嫌がります。
人間と犬との信頼関係も崩れてしまいます。
薬の時間も楽しく、美味しくできたらこれが一番いいですね。
お団子作戦
犬に薬をあげる際に最もオススメな方法はお団子作戦です。
犬にとっても飼い主様にとってもストレスフリーで、薬をあげているのにオヤツをあげている感覚!!
そして、犬も人間も笑顔
薬をあげる時は缶詰フードがオススメです。
普段ドライフードを食べている犬でも薬をあげるために缶詰フードを準備してもらっています。
持病があり療法食が必要な犬では担当の獣医師に缶詰フードを選んでもらうといいでしょう。
- 缶詰フードで何個かお団子を作る
- そのうち1つに薬を入れる
- 最初に薬の入っていないお団子をあげる
- 続いて薬の入っているお団子
- 食べたら褒めてあげる
もしも最初に警戒して食べない時は、缶詰フードを少し温めてあげるとニオイが増して食いつきが良くなります。少し鼻につけて舐めさせたりするのも効果的です。
薬入りお団子が終わったらいつもの食事をあげます。
お団子作戦 Ver2.
療法食などの缶詰フードで食べない場合は、
他の食材・おやつでお団子作戦を行います。
ただし、
病気によっては避けた方がいい食材があるかと思います。
担当の獣医師に確認をとる事をオススメします。
犬は甘いものが好きです。そこで登場するのが
『サツマイモ』
焼き芋・蒸かし芋は好きな犬が多く、さらに薬が隠しやすいです。
他に良く使うものとしては、
お肉が好きであればシャブシャブ肉(肉で薬を巻く)
バナナ(薬を埋め込みやすい)
持病についても考えてあげなければいけませんが、
マシュマロ、パン、チーズ、プリンなども使っています。
ミルクが好きな犬でそれでは錠剤が飲めないので、寒天でミルクを固めてそこに錠剤を隠した事もありますね。
薬を隠すためのオヤツを利用する
薬を隠すためにできたオヤツも販売されています。
最近は様々なものがあって、どれも美味しくできていて薬を隠しやすくなってます。
入院している患者さんにも利用しています。
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錠剤を粉にする:練乳作戦!!
錠剤の舌触り、口に触れる感じを嫌がる犬がいるので、そんな時は粉にするのも方法です。
ただし、
薬を粉にしてあげると苦味が口の中に広がり嫌がる犬がいます。
入院している犬で薬を飲めない場合には
- 薬を粉にする(道具を使うと簡単です)
- 少量の水で溶く
- ガムシロップ(単シロップ)で溶く
- 注射器で飲ませる
のようにして飲ませる事もあります。
粉の状態で何かに混ぜてそれで飲んでくれればそれでオッケーです。
甘いシロップにすると喜んで自ら舐めてくれる犬もいます。
警戒して舐めてくれない場合でも、口にシロップを入れてあげて味を確認させてあげると
『これならいいよー』
と素直に飲んでくれる犬が多いように思います。
さぁーて、どうしよう?
薬を粉にして練乳に混ぜると喜んで舐めてくれた事があります。
まさに、練乳作戦!!
他にもマヨネーズ、ピーナッツバター、アイスクリームを使った事もあります。
錠剤の種類の中には腸溶剤と言って、胃酸の影響を受けないようにコーティングされて腸で溶けて効く薬があります。それを粉にしてしまうと十分な薬の効果が出ません。
錠剤を粉にする前に担当の獣医師に確認するようにしましょう。
口の中に入れる
どうしても飲んでくれない場合は、口の中に入れるしかありません。
ただし、本人の様子を見ながらあげて下さい。
そもそも吐き気のある犬では飲ませても吐いてしまいます。
呼吸の苦しい犬に無理やり飲ませると苦しくなってチアノーゼになります。
心臓の悪い犬で嫌がって大興奮すると肺水腫になったり、倒れたります。
寝たきりの犬の場合は、
寝た状態であげるよりもできる限り伏せに近い状態で薬をあげる方があげやすいです。
口に入れる手順
- 上顎の犬歯の後ろ側に親指と人差し指をかけてマズルを掴む
- 45°位の角度に顔を持ち上げる
- 反対側の手の親指・人差し指で薬を持ち、中指・薬指を下顎の前歯に引っ掛けて口を下へ開く
- ノドの奥に薬を落とす。または、ノドの奥に薬を押し込むように入れる
- 犬歯の後ろから注射器などで水を入れて『ゴクッ』と水を飲ませる
- ご褒美をあげて、褒める・褒めちぎる!!笑
ノドの奥に薬を入れられない場合は、道具を使うのも方法です。
道具の先端に薬が設置できるようになっていて、押し込むことができます。
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どうでしょう?
少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
- できれば食事で飲ませる
- 薬の時間も楽しい・美味しい時間にする
- どうしても飲めない場合は優先順位をつける
- (特に心臓・呼吸に問題がある場合)
無理やり飲ませるのは避ける